症例27:膵癌
<解説>
膵臓は食物の消化を助ける膵液を作り、分泌する外分泌機能、血糖値の調節などをするインスリンなどのホルモンを作り分泌する内分泌機能の役割を持っている。
膵臓癌は、多くは膵管の細胞から発生する。膵臓にできる腫瘍で膵臓癌とは異なる疾患は、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN:Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm)、神経内分泌腫瘍などがある。
膵癌は早期の状態では自覚症状がほとんどなく、早期発見が難しい。進行してから腹痛、体重減少、黄疸等で気が付くことが多い。
膵癌の種類は大きく分けて以下の三つ。
- 浸潤性膵管癌
膵管上皮(膵管の内側の細胞)から発生する癌で最も多い。
- 腺房細胞癌
消化酵素を作る「腺房細胞」から発生する癌で、比較的まれ。
- 粘液産生膵癌
粘液を多く産生する膵管内腫瘍が癌化したもの。早期の予後はよいが、浸潤すると予後は浸潤性膵管癌と同様。
<診断>
- CT
造影CTにより膵臓に腫瘍がないか、他の臓器に転移していないかを確認することが出来る。早期の膵癌はCTだけでは分からない場合が多い。
- MRI
MRCPなどの条件での撮影は膵管の抽出に優れているため、圧迫の有無が分かる。
その他、内視鏡から膵管の中に造影剤を入れる検査(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、血液検査で行う腫瘍マーカーなどがある。腫瘍マーカーについては膵癌疑いの時だけでなく、治療効果の判定にも使用される。
<治療と予後>
膵癌は進行度が早く悪性度が高い為、診断と治療が非常に難しい癌であり、診断がついた段階で手術可能な場合は約20%と少ない。切除出来ても術後の再発率が高く、術後の5年生存率は20-40%と不良とされている。
参照:東京医科歯科大学、がん情報サービス、日本肝胆膵外科学会