症例28:リポイド肺炎

症例28:リポイド肺炎

<解説>

リポイド肺炎とは、脂肪貪食マクロファージが肺胞内腔の出現を特徴とする肺炎で、内因性と外因性に大別される。
内因性リポイド肺炎は、吸引や誤嚥の既往なしに発症するもので、主に悪性腫瘍による気管支やリンパ菅の閉塞により障害された肺組織から逸脱した脂質に伴う肺炎。
外因性リポイド肺炎は、油脂類を吸入して発症する肺炎で、石油製品、流動パラフィン、肝油、造影剤(リピオドール)などが原因となる。
リポイド肺炎といえば、一般的には外因性を指す。
診断は、TBLB、喀痰や肺組織の脂肪染色や脂肪を含有したマクロファージを同定することで確定される。

                                                 参照:日本内科学会雑誌第105巻第2号

<臨床症状>

  • 41% は無症状か軽微な症状(偶然発見)
  • 発熱
  • 体重減少
  • 咳嗽
  • 呼吸困難
  • 胸痛
  • 喀血

<画像と解説>

肺胞性陰影、間質性陰影、結節性陰影など、様々な陰影を呈し、肺門リンパ節腫大や胸膜病変を認めることもある。
病変の分布は片側で下葉もしくは右中葉が多い。これは、就寝時の体位に依存していると考えられている。

<CT>
肺胞性陰影、間質性陰影、結節性陰影など、様々な陰影を呈し、肺門リンパ節腫大や胸膜病変を認めることもある。
病変の分布は片側で下葉もしくは右中葉が多い。これは、就寝時の体位に依存していると考えられている。
縦隔条件で脂肪濃度を有するdensityの低いconsolidationを認めることが出来れば、典型的であるが頻度は高くない。
両肺中・下葉優位にすりガラス陰影と淡く境界不明瞭な小葉中心性粒状影を認め、しばしばcrazy paving appearanceを伴う。
この淡い小葉中心性粒状影とcrazy paving appearanceが同時に認められれば、診断特異性が高くなる。

<鑑別診断>

  • 原発性肺癌
  • 肺胞蛋白症
  • 細気管支肺胞上皮癌
  • 肺腺癌

<治療と予後>

全肺胞洗浄やステロイド投与などで治療されるが、確立した治療のエビデンスはない。
予後は急性型に関しては予後はよい。慢性型は治療抵抗性。
反復する感染症として、見過ごされるケースが多い。