2021.12.01

症例19:Lhermitte-Duclous病疑い

モダリティ
<臨床情報>
70代 男性 右小脳半球腫瘍性病変の精査をお願いいたします。

<診断>
Lhermitte-Duclous病疑い

<解説>

Lhermitte-Duclos disease(レルミット・ダクロス病 )とは…
WHO grade 1の良性腫瘍で、乳児から60代まで、幅広い年齢で発症するが、20代から40代に多い疾患。
片側性で左小脳半球に多く、小脳半球が腫れて大きくなってしまう病気。腫瘍というよりは、小脳の一部が異常に大きくなり、小脳虫部や脳幹に進展することもある。
過誤腫、あるいは、形成異常とも言われ、何年もかけてゆっくりと大きくなる。
水頭症を合併することが多い。
小脳が腫れるので後頭窩(テント下)の圧が上昇して症状が出る。約50%にCowden症候群(皮膚・粘膜、消化管、乳腺、甲状腺、中枢神経、泌尿生殖器などに良性の過誤腫性病変が多発する常染色体優性遺伝性疾患)に合併する。

<原因>

Cowden症候群に合併することが多い。
また、PTEN遺伝子(第10番染色体の長腕にあるがん抑制遺伝子で、phosphoinositide-3 kinase (PI3K)の経路を規定し、細胞周期の規定、細胞増殖、細胞遊送などに関連)に異常があって生まれた人に生じる。
MRIで確定診断ができる。
小脳の中に別の小脳ができたような形態を示す。
「gyriform pattern」、「 laminated lesion」「striated appearance」「 tiger-stripe appearance(トラ柄の縞模様)」と表現される所見で診断がつく。

<症状>

■ 数年かかってゆっくり症状が進行することが多い。
■ 頭の中の圧力があがる、脳圧亢進がでる。
■ 頭痛、呕吐、目がぼやけるなどの視力障害や複視など。乳児では、眼振や呕吐など
■ まれに、急性の閉塞性水頭症で、傾眠傾向や意識障害になることも。
■ 歩く時にふらつく、不安定になるという小脳失調も多くみられる。
■ 脳神経麻痺もみられ、片方の聴力が低下する、嚥下障害なども。
■ 大頭症、多指症、多発性血管腫、頭蓋骨奇形(早期癒合症)などを合併することがある。

<画像の解説>

■ CT
低濃度を示し、時に石灰化を伴う
小脳の肥大、嚢胞形成を伴う小脳構築の変形

■ MRI
縞状模様を呈する腫瘤性腫大
T1強調画像で低信号、T2強調画像でやや高信号。ガドリニウムで増強されないこともあるが、一部が増強されることもある。
拡散強調像で周囲実質と比較し、T2 shine-through を反映した高信号を示し、ADC 値の低下はない。

■ FDG-PET
正常小脳よりも強い取り込みがみられる。

<鑑別診断>

■ 小脳梗塞
■ 小脳炎
■ 小脳異形成
■ 神経節細胞腫

<治療と予後、合併症>

後頭下開頭で腫瘍化した部分だけを部分摘出。大きな腫瘍を全摘しても、症状を残さないことも多いため、必ずしも腫瘍を全部とる必要はない。
水頭症を合併している例では、内視鏡による第3脳室開窓術を行う。
予後は、良性の経過をたどり、加齢とともに自然退縮することもある。
Cowden症候群を合併していると、癌を発症する可能性が高くなる。
極めて稀に、過誤腫性神経節細胞腫から、神経節膠腫を混じてグレード3の神経節膠腫へと悪性化することがある。

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