症例30:第1ケーラー病

症例30:第1ケーラー病

<解説>

第1ケーラー病とは、足の中央分にある舟状骨が変形し、痛みを引き起こす疾患。原因は繰り返しの圧迫が与えられたことで血液の循環障害が生じ、舟状骨が壊死してしまうことと言われている。1908年、ドイツの放射線科医であるAlban Köhlerが舟状骨の無腐性骨壊死として報告した。

両足に発生する確率が約3分の1であり、土踏まずに痛みが生じたり、腫れることもある。舟状骨は足の骨の中でも重要な役割を持っている故に、歩行障害が生じる場合もある。
第1ケーラー病は3~10歳頃の小児に出現し、75%は男児に出現する。

 

<画像の解説>

      • 単純X線写真

足関節単純X線写真では舟状骨の扁平化や、骨効果を認める。場合によっては、舟状骨の分節化を見ることもある。

 

      • MRI

MRIでは骨硬化部を反映して、T1強調像で低信号の線状影や帯状影を伴う。

 

<治療と予後、合併症>

治療は保存療法で、病初期は局所の安静と免荷を行い、疼痛に対しては足底板を着用する。期間は数か月から2年ほどで、舟状骨が修復されるまで単純X線写真でフォローを行いながら、痛みが消失するまで着用する。
予後は良好であり、成長終了時に症状が残存していることはほとんどない。この為、骨壊死というよりは正常変異ではないかとも考えられている。

参照:関節のMRI第2版、ホスピタ