症例17:Dieulafoy潰瘍

症例17:Dieulafoy潰瘍

<解説>

Dieulafoy潰瘍とは、比較的稀な胃・消化管出血をきたす疾患。1898年、フランス人医師Dieulafoy(デュラフォイ)により初めて報告された。一般的に言われている胃潰瘍とは少し違い、さまざまな原因で胃の粘膜が欠損する胃潰瘍に対し、Dieulafoy潰瘍は小さな粘膜欠損をともなう露出血管(動脈)からの大出血をきたす病変で、胃の近位(食道・胃接合部6cm以内)の小弯にあることが多い。下部食道・上部小腸・右側大腸・直腸には稀にみられる。

突然の吐血・下血で発症し、発症率は中高年に多く、男女比は2:1で女性よりも男性の方が多い。

<画像の解説>

  • 内視鏡検査

多量の吐血、下血で来院するため、緊急の内視鏡検査が必要。破綻した血管から動脈性出血を認めるので診断は容易だが、多量出血で血圧が低下し、検査時に出血が一時的に止まっている場合や、胃の中に凝血塊が存在している場合は出血元を特定するのが難しく、診断が容易ではない。

  • CT

造影CTで潰瘍部に濃染する領域がみられるとその部位からの出血、時間経過で出血範囲が増大していると、動脈性の活動性出血を疑う。

<治療と予後、合併症>

治療は内視鏡的止血術(電気的焼灼術、クリッピング術、エタノール注入法、レーザー焼灼術、バンド結紮術など)が一般に行われ、血管造影下に経カテーテル動脈塞栓術が行われることもある。再発率は低く、外科的治療は必要としないことが多い。

参照:経鼻内視鏡.jp日本救急医学会