症例10急性肝炎
<解説>
急性肝炎は主に肝炎ウイルスの感染が原因で急性の肝機能障害を呈する。
症状:黄疸、食欲不振、嘔気嘔吐、全身倦怠感、発熱など。
5種類の肝炎ウイルス(A、B、C、D、E型)が確認されており、経過が良好(6カ月以内)な疾患が一般的だが、約1~2%の患者は劇症化し、一度劇症化すると高率に死に至る可能性が高くなり、肝臓移植治療が必要となることも。
<画像の解説>
非特異的な所見なので所見の組み合わせや臨床情報を参考にすること。
Periportal edema →CT:門脈周囲低吸収域:periportal collar、 MRI:T1WIで低信号、T2WIで高信号:periportal abnormal intensity:PAI
肝腫大、単純CTで低吸収、早期動脈相で異常濃染=early patchy enhancement、肝動脈の拡張、腹水、胆嚢壁の肥厚、脾腫、肝周囲のリンパ節腫大
<鑑別診断>
・劇症肝炎
・伝染性単核球症
・アルコール性肝炎
初期は、肝炎は様々な非特異的ウイルス性疾患との鑑別が必要となってくる。
急性肝炎は黄疸を引き起こす他の疾患と鑑別し、原因を探る。病歴を確認することで曝露歴があれば、薬剤性または中毒性肝炎があがり、ウイルス性肝炎の危険因子も明らかにすべきである。
<治療と予後、合併症>
原因ウイルスにより経過と重症度が異なる。
(経過)
A型肝炎、E型肝炎:慢性化しない。
B型肝炎:成人だと慢性化はまれ(出産時ないし乳幼児期に感染すると高率に慢性化)
C型肝炎:感染時年齢に関係無く高率に慢性化する。
(重症化、劇症化して死亡率する確率)
およそB型と非A非B非C非E型で1~2%、C型とA型で0.5%以下。A型は死亡率は低いが、経口感染で、家族内で2次感染を起こすなど爆発的流行の場合もあり。また最近の注意事項として50歳以上の高齢者での感染例での重症化例が増加があげられる。