2020.12.21

症例2:虫垂炎の穿孔の可能性

モダリティ
<臨床情報>
50代 女性
検査目的:既往切除。急性虫垂炎疑い。右側腹部痛を来し売薬内服にて経過を見ていたが、増悪し歩行時痛も伴うようになり来院。臍右側にdefenceを伴う、強い圧痛を認めます。

<診断>
虫垂炎の穿孔、腹膜炎合併の可能性があります。

<所見>
虫垂の高度な腫大、壁肥厚を認めます。 虫垂基部に結石を認めます。 急性虫垂炎を疑います。虫垂周囲の脂肪組織の浮腫、液貯留も目立ちます。虫垂炎の穿孔 、腹膜炎合併の可能性があります。回盲部に浮腫状に壁肥厚を認めますが、回盲部への炎症波及を疑います。

<解説>
虫垂炎は突然の重度の腹痛および腹部手術の最も一般的な原因です。5%以上の人が生涯のある時点で虫垂炎を発症します。
虫垂炎の原因は十分に解明されているわけではありませんが、ほとんどの場合、虫垂内部が閉塞することで炎症が始まると考えられます。閉塞は、糞石、異物、まれに寄生虫により生じることもあります。閉塞の結果、虫垂に炎症が起こり、感染症が生じます。治療しないまま炎症が続くと、虫垂が破裂することがあり、虫垂周囲に膿瘍が形成されることがあります。その結果、腹膜炎が発生することがあります。
本症例は糞石による急性虫垂炎が生じたが、我慢していた結果、虫垂穿孔、腹膜炎を来した症例です。虫垂石(噴石)が存在する場合、放っておくと虫垂炎を繰り返す可能性があるので、外科的治療が必要となります。
臨床での急性虫垂炎の診断は意外に難しく、超音波、CTなどを駆使して行われます。CTは最も鋭敏に急性虫垂炎を診断できる検査法です。急性虫垂炎の CT 所見としては、壁肥厚を伴う腫大した虫垂、虫垂結石、虫垂周囲脂肪組織浸潤像(dirty fat sign)、周囲腸管壁肥厚および膿瘍があります。糞石が無い場合、虫垂腫大が明瞭でない場合でも、回盲部の脂肪組織の浮腫像は虫垂炎の可能性を考える手がかりとなるので、慎重な読影作業が必要となります。また、膿瘍は虫垂周囲のみならず、離れた部位(Douglas窩)などにも形成されることがあるので、骨盤内にも目を向ける必要があります。

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