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2020.10.09

症例4.遠隔画像診断事業:症例紹介<特発性腸管嚢腫様気腫症>

引用画像:京府医大誌 123(4),255~262より

遠隔画像診断事業スタッフより、勉強の為、これは!?と感じた症例を、定期的にブログでご紹介していきます。
今回は、「特発性腸管嚢腫様気腫症」についてご紹介します。

今回「特発性腸管嚢腫様気腫症」の症例を選んだのは、弊社数十万件の依頼の中でわずか数件しかない症例にも関わらず、2件連続でこの「特発性腸管嚢腫様気腫症」の症例を目にする機会があったため、気になって調べることにしました。

<臨床情報>
80代女性
発熱あり、誤嚥性肺炎疑いにて精査希望
<所見>
S状結腸内に壁内ガスを認めます。明らかな腹膜炎の所見は認められず、特発性腸管嚢腫様気腫症と考えます。

Pneumatosis cystoides intestinalis(PCI: 腸管嚢胞様気腫症)は比較的稀な疾患で、特発性続発性があると考えられており、続発性の誘因として想定されている疾患は、様々な肺疾患、自己免疫疾患、腸管感染症、移植、医療行為や薬剤など多彩。特に近年では糖尿病治療薬のαグルコシダーゼ阻害薬に関連した症例も報告されるようになっている。
ほとんどが無症状で、血液検査も正常であることが多い。

<腸管気腫の背景>
ー潰瘍や幽門狭窄、腸閉塞や潰瘍性大腸炎などの消化管疾患
ー消化管吻合
ー慢性閉塞性肺疾患・喘息
ー膠原病性血液疾患
ー臓器移植(骨髄)など

<腸管気腫の機序は不明>
ー機械説(内圧説): 腸管内圧が上昇し、腸管ガスが粘膜の微細な損傷部から腸管壁内へ侵入して発生。
ー細菌説:クロストリジウム属などのガス産生菌が粘膜下へ侵入し、腸管壁内でガスを産生。
ー化学有機溶剤説:トリクロロエチレンの慢性曝露によって発症。
ー肺原説:閉塞性肺疾患や慢性肺疾患、咳嗽などによる胸腔内圧上昇により肺胞が損傷し、ガスが縦隔を経由して後腹膜・腸間膜・腸管壁に達する。
ーステロイドホルモン説:粘膜下リンパ組織の減少による粘膜の損傷、結合組織に直接作用し粘膜抵抗性を減弱させ、
粘膜修復過程を妨害、肺組織の脆弱化による縦隔気腫の発症など。

・PCI の治療は、通過障害、大量出血、壊死などがない限り、保存的治療が原則
→高圧酸素療法や酸素吸入療法が有効とされている。
その理由は、酸素投与により、気腫内の窒素が酸素に置換され、気腫が組織内に吸収されるためとされている。

引用元:腸管気腫症のマネジメント 、 第385回 東京レントゲンカンファレンス

腹腔内のfree airがあると激痛…というイメージでしたが、腸管嚢胞様気腫症のように、稀に無症状の場合もあるということを学びました。
先日、定期開催している外部講師をお招きしての勉強会の中で、偶然にも臨床症状がないfree airのお話しがありました。
今回のブログを準備するにあたり、先生がお話しして下さった内容も資料に含まれており、大変勉強になりました。

今後の業務に活かしていきたいと思います。

投稿者:うえの

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