7月2日(土)、ヒューガルデン・ホワイト。

7月2日(土)、ヒューガルデン・ホワイト。

7月2日(土)、ビール探訪、第5回。

今回は、ベルギービールでも特に有名な小麦ビール、ヒューガルデン・ホワイト(Hoegaarden White)。
ベルジャン・ホワイト・エール。330ml、約390円。

14世紀のベルギー、ヒューガルデン村では小麦を原料としたホワイトビールが作られるようになりました。ところが、20世紀になるとピルスナーの人気に押され、ヒューガルデン村周辺のホワイトビール醸造所は次々と閉鎖を余儀なくされます。1966年、ヒューガルデン村で牛乳屋を営んでいたピエール・セリスは廃業したレモネード工場を買い取り、ド・クレイス醸造所を設立、ホワイトビール造りを始めました。それが「ヒューガルデン・ホワイト」です。爽やかでフルーティなホワイトビールは、ピルスナーに慣れた当時の若者にとって、とても斬新であり、次第に人気を得るようになりました。

ところが、1985年、ド・クレイス醸造所は火災にあい、多大な被害を受けます。ピエール・セリスの財力では復興が困難だったため、ド・クレイス醸造所はインタブリュー社(現在のインベブ社)の傘下に入りました。大手ビール会社によって製造されるようになった「ヒューガルデン・ホワイト」。ピエール・セリスは「もはや、本来の味ではなくなった」と評しています。

ド・クレイス醸造所の再興を目指す一方で、彼には新たな夢が生まれました。当時のアメリカではマイクロブルワリー熱が高まりつつあり、アメリカで自分の理想とするホワイトビールを広げたいと思ったのです。1992年、テキサス州にセリス醸造所を設立し、「セリス・ホワイト」という新しいホワイトビールを生み出しました。しかし、そのセリス醸造所も1995年に大手ビール会社、ミラー社に買収され、その後、閉鎖されてしまいます。
2000年にベルギーに帰国、デ・スメット醸造所を設立しますが、ここでも大手ビール会社、ハイネケン社による買収に遭います。

2002年にベルギーのヴァン・スティーンベルグ醸造所とアメリカのミシガン・ブルーイング社が「セリス・ホワイト」のライセンスを取得。現在でも「セリス・ホワイト」は生産され、日本でもベルギー・ビールとして「セリス・ホワイト」を飲むことができます。

2011年、4月、ピエール・セリスは癌のため亡くなります。84歳でした。
ビール造りに人生を捧げた一人の男と、彼を翻弄する大手ビール会社。

苦難にも負けず、ビール作りの夢に挑戦し続ける姿には、
実に多くの学ぶべきものがあります。


ずらっと並ぶと、ワクワクします。


しっかり、冷やしました。


今回もグラスを買いました。


では、開栓。


確かに、白っぽいですね。生きた酵母を加え、瓶内で二次発酵させた自然な濁りです。


2/3程度、注いだら、瓶を大きく回します。


瓶底に溜まった酵母も一気に注ぎます。


ホワイト・ビールです。では、Proost!


うまい。
原材料にオレンジピール、コリアンダーシードを使っていますので、独特の爽やかな香りと酸味があります。余韻は強くありません。
女性に好まれるビールですね。

次回は、セリス・ホワイトです。と言いたいところですが、入手に時間がかかりそうですね。
・・・それでは、イギリスに行きましょう。ポーターとスタウトを飲み干します。