症例3:胆石イレウス

症例3:胆石イレウス

<疾患の解説>

胆石イレウスは機械的な小腸閉塞のまれな原因である。慢性胆嚢炎のまれな合併症であり、胆嚢と小腸の間の瘻孔を胆石が通過して、回盲弁で詰まることで生じる。

胆石イレウス全体は小腸閉塞(一般成人人口の1~4%)のまれな原因だが、高齢者ではまれではなく、非絞扼性腸閉塞の最大25%を占める。胆石症の場合と同様、女性に多い。

典型的には、反復性の炎症性イベントを伴う慢性胆嚢炎に伴って、再発性の右上腹部痛の長い病歴がある。胆石イレウスは、小腸閉塞の経過中に疝痛性腹痛および腹部膨満として急に出現することがある。

胆嚢炎が繰り返し起こると、胆嚢は小腸に癒着し(通常十二指腸)、最終的には瘻孔を形成して胆石が内腔に排出される。腸管への最も一般的な侵入部位は十二指腸であると考えられており、小さな結石はおそらく無症状で通過する。しかしながら、大きなコレステロール結石は、典型的には回盲弁に詰まることがある。胆石イレウスは機械的な小腸閉塞となりえる。なお、イレウスという用語は、通常は機械的閉塞ではなく機能的閉塞を表すために用いられるので、胆石イレウスという名称は不適切である。

 

<画像の解説>

X線

最も頻度が高いのは、結石が回腸遠位部に詰まることだが、他の部位に詰まることもありえる。

典型的な腹部X線所見は、小腸閉塞、胆道内ガス、胆石(通常、右腸骨窩)である。

 

CT

胆石性イレウスの診断におけるCTの感度、特異度、および精度は約93%、100%、および99%である。胆石のうち石灰化するのは少数 (12.5%) であり、非石灰化胆石の内部密度は腸内容物とほぼ同じであるため、問題となる胆石は見過ごされやすい。胆石存在部位の直前の腸に膨隆がみられることがあり、胆石の位置を特定するのに役立つことがある。通常、結石は大きく、大きさは数センチメートル(2~3 cm)にまで達する。

瘻孔は胆嚢と十二指腸の間に発生することが最も多いとされる。バリウム造影にて、十二指腸下行脚の外側の高吸収陰影として描出されることがある。

より進行した状態、より予後不良の徴候として、遊離液、遊離ガス、門脈ガス、または壁在ガスを探すなどが知られている。

 

<治療と予後>

統計的に高齢者が胆石を有しやすいので、必然的に高い死亡率 (12~30%) 1~2となる。

根治的治療は手術であり、結石の除去 (腸切石術) および総胆管腸瘻の修復を行い、胆嚢摘出術を行う。